2025/10/03 12:08
先日、お客さんとお茶を飲んでいたときのこと。
「一番好きなお茶は何ですか?」と尋ねられました。
日々、日本茶や中国茶、ハーブティーなどいろいろな種類のお茶を楽しんでいますが、
そんな中で「一番」を決めるのは本当に難しい。
すでに何度も飲んだことがあるお茶でさえ、
「なんて美味しいお茶なんだろう」と毎回しみじみ思うのです。
茶器に注ぐお湯の音も、
満ちてくるお茶の香りも、
淹れるたびに少しずつ変わるお茶の色も、
そして口の中に景色が広がるようなお茶の味も、
その全てが美しくて、大好きで、「なんて幸せな時間なんだろう」と思う。
だから、そのとき飲んでいるお茶が、いつも一番好きなお茶になるのです。
いくつものお茶を比べて「一番好き」を選ぶことはできないけれど、
「今に一番合うお茶」を選ぶことは毎回やっているかもしれません。
今日はお天気が悪いから、明るい感じのハーブのブレンドがいいなとか、
みたらし団子には、しっかりした味のプーアル茶がいいかしらとか。
同じ種類のお茶の中にもいろいろな味わいのものがあるけれど
毎回じっくりお茶を味わっていると、何かのときに自然と「あのお茶が合いそう」と思い浮かぶのです。
お茶を選ぶときは、自分の頭で考えるというよりも、
呼んでいるお茶の声を聴くと言ってもいいかもしれません。
自然を感じ、場を感じ、目の前のあるものを感じ、からだを感じる。
そうやって選んだお茶を愛でる。
そうやって今日もお茶の時間を過ごしています。


