ほんの小さな歪み、釉薬のにじみ、色や形のゆらぎ。

人の手と自然の作用が重なり合って生まれた、
唯一無二の表情をもつ器や道具たち。

けれど、そのわずかな“個性”のために、
「商品」の基準から
こぼれ落ちてしまうことがあります。

完璧さを求める世界では、
“B級品”や“規格外”と呼ばれ、
棚の外に追いやられてしまう。

けれど、そこには愛らしさや、
いのちの手ざわりがあるように思うのです。

量産品としての“統一性”には届かず

芸術作品としての“唯一性”にも括られないけれど、
どれ一つとして同じものはなく、

何かを主張するわけでもなく、
あるがままの姿を受け止める様。


そんな存在を、あわいものと名づけました。

ふと目にとまり、手にとったときに、

なぜか愛おしく感じる——そんな存在。

この小さなものたちとの出会いが、

ゆらぎや欠けのある自分自身の美しさに気づく
きっかけとなりますように。